《日本ーインドネシア国際友好展2018  ISBI BANDUNG アーティストトーク》

 

写真提供:ISBI Bandung / Japan and Indonesia International Friendship Exhibition 2018 Artist TalkⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”

《日本-インドネシア国際友好展2018 アーティストトーク》


 2018年3月6日(火)13:00より,国立インドネシア芸術文化大學バンドゥン校内に併設される,ギャラリー212にて,同大学講師ならびに教育機関者,学生を対象としたアーティスト・トークが行われた。

 本年度は,《日本の伝統美と現代アートの未来》をテーマに,AACA(アジア美術文化協会)の水谷靖氏の能面作品の紹介とGallery Asumu Art Space(ギャラリー明日夢アートスペース)でアジアとの美術文化交流を行う,斉藤 邦彦(写真),佐伯 直俊(写真),水落 志津果 (CG),河野 修二(写真),大山 伊津貴(CG),大内 拓(CG),山森 冬美(アクリル),佐々木 幸太(パステル),斉藤 美和(CG),服部 芽生(CG),下村 勇貴(写真)をはじめ,Committee of Shinrabanshou (森羅万象実行委員会)に所属する日本の学生たち,大熊 桃佳,荒川 理,藤本 かのん,嶋 智瑛理,安川 ヨアンナ,山内 彩愛,吉岡 春野,鳥山 孝太郎,黒田 晋平,依田 紫恵里,鈴木 乃々花,萩原 彩奈らの制作した作品について,日本のキュレータ―である水田泉氏よりインドネシア語で紹介ならびに解説行われた。

 会場内では,特に水谷氏の能面作品について,さらには日本の現代アートに伝統的な美術の要素が含まれているかが,質疑の中心となった。  

 水谷靖氏に略歴について紹介すると,1979年,東京芸術大學院彫刻学科を卒業後,制作してきた作品は,彫刻,寄せ木を主題とし現代アートの作品制作である。日本の伝統美術である『能面』制作をはじめたのは44歳からであり,水谷氏の能面の師匠である,面打ち師,桑田能忍氏との出会いにはじまる。

 水谷氏が,現代アートの世界から伝統美術の世界へと惹かれていった理由に「個性」の捉えた方が西洋と日本では大きく異なる点にあるという。西洋美術では,「個性」を重視するのに対し,伝統の写しである『能面』は,あくまでも「己を滅す」し,様々なしきたりや決まり事を重視することを第一に重んじられる。このようにしてつくられた『能面』は,小さな作品の中に日本の伝統美と個性を華っている。  

 本展に出展された,日本の若者たちが制作する作品のなかにも,日本の伝統をテーマに制作された作品も数多く見受けられた。しかし,日本の美術教育のなかで,「伝統美術」について学ぶ時間はとても限られたものであり,そして,「個性の尊重」は,美術教育の第一の指針でもある。本アーティスト・トークでは,参加者であるインドネシアの教育者より,「地方文化の育成」という教育カリキュラムのなかで,バンドゥンの場合は,スンダ語をはじめとする言語やスンダ特有の伝統美術について学ぶ時間があると紹介され,両国の美術教育への考え方について理解を深める有意義な機会となった。


《報告―日本-インドネシア国際友好展実行委員会》



写真提供:ISBI Bandung / Japan and Indonesia International Friendship Exhibition 2018 Artist TalkⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”

2018年03月09日