アジア国際友好展2017 「クロス・アジア・クロス・アイデンティティ 「デ・ダダ・ドゥータ・ジャカルタ」4名の作家・・・・・」

図1『ゴールデン・レイン(Golden Rain)』と題された作品とチャンドラ・マウラナ
(Chandra Maulana)(本人)

写真提供:ISBI Bandung / Asia International Friendship Exhibition 2017
Artist Talk ⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”

「クロス・アジア・クロス・アイデンティティ 「デ・ダダ・ドゥータ・ジャカルタ」4名の作家・・・・・」

 2017年度のアジア国際友好展は,2017年7月22日(土)-23日(日),東京のエコ・ギャラリー新宿にて開催されました。本展覧会は,《クロス・アジア・クロス・アイデンティティ》をメインテーマとして,アグス・チャハヤナ氏(インドネシア)と(Agus Cahyana/Curator Indonesia),水田 泉氏(日本)(Mizuta Izumi/ Curator Japan)の両名がキュレーターを務めました。

 本展覧会の《アジア招致部門》には,インドネシア芸術文化大学バンドゥン校(ISBI Bandung)の講師と学生,デデ・ダダ・ビンタロ・ジャカルタ(de Dada Bintaro Jakarta)より5名の作家, アルミ二(Alumni-ISBI bandung)より4名の作家,テレコム大学(Telekom University),マラナタ・キリスト教大学(Maranatha Cristian University)より学生の作品,アジア招致アーティスト,インバリッド・アーバン(Invalid Urban),チュチュ・ウィジャジャ(Tjutju Widjaja),また,国立インドネシアの高校より6点の秀作,合計およそ60点にもおよぶ現代アート作品がインドネシアから運ばれ,日本のアーティストらとのコラボレーションにより展示開催されています。

 本展は《クロス・アジア・クロス・アイデンティティ》を主題とし,インドネシアの作品は《多様なるインドネシアの現代アートの世界》とテーマづけられています。

 本年度は,インドネシア・ジャカルタよりデ・ダダ・ビンタロ・ジャカルタ(de Dada Bintaro Jakarta)を主催するチャンドラ・マウラナ(Chandra Maulana),フィフィ・ラハミー・オクティニ(Fifi Rahmi Oktini),ヤニ・ファトマワティ(Yeni Fatmawati),エドウィン・マカリム・ヤヌアール(Edwin Makarim Yanuar)の4名がアーティスト・トークへ参加しました。

 『ゴールデン・レイン(Golden Rain)』と題された,チャンドラ・マウラナ(Chandra Maulana)の作品は(図1),インドネシアの伝統的な祝福をもたらす雨という意味が込められており,『シラット(Silat)』は,シラットが攻撃のためのイベントではなく,平和のためのインドネシアの伝統の文化について語っています。

 『プスパ・バンサ (Puspa Bangsa)』『プスパ・ペルソナ(Puspa Pesona)』『プスパ・ランカ(Puspa Rangka)』と題された,3つ花のシリーズは,女性作家,ヤニ・ファトマワティ(Yeni Fatmawati)が描いた作品です。(図2)ヤニ・ファトマワティ(Yeni Fatmawati)は,インドネシアを代表する3つの花を鮮やかな色彩で表現しています。そして,『違法伐採(Illegal Logging)』と題された彫刻の作品は,人間と動物の関係性を意図し,不法伐採の批判である森林破壊によって動物の居場所が奪われていることを示唆します。

図2『プスパ・ランカ(Puspa Rangka)』と題された作品とインドネシア女性作家,ヤニ・ファトマワティ(Yeni Fatmawati)(本人)写真提供:ISBI Bandung / Asia International Friendship Exhibition 2017Artist Talk ⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”


 『ブリタム(客人)(BERTAMU)』『キナシ―(Kinasih)』と題された絵画作品,『Kinasih 01.02.03』と題された彫刻の作品は,女性作家,フィフィ・ラハミー・オクティ二(Fifi Rahmi Oktini)が制作した作品です。「BERTAMU」には,日本とインドネシアの履物が一対ずつ描かれた作品は,若い日本女性とインドネシアの男性との友好の関係性が伺い知れます。『Kinasih』には,あふれ出る母の愛が表現されています。(図3)

図3『ブリタム(客人)(BERTAMU)』と題された作品とインドネシア女性作家フィフィ・ラハミー・オクティ二(Fifi Rahmi Oktini)(本人) 写真提供:ISBI Bandung / Asia International Friendship Exhibition 2017,Artist Talk ⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”


 『コーヒーとラピス(Coffee&Kue Lapis)』と題されたインスタレーション絵画作品は,エドウィン・マカリム・ヤヌアール(Edwin Makarim Yanuar)が制作した沙作品であり,インドネシアのコンセプトを表現しています。そして,「友情の杯(MEMEGANG CANKIR)」と題された彫刻の作品は,インドネシアと日本の友好を示唆する彫刻作品となりました。

図4『コーヒーとラピス(Coffee&Kue Lapis)』と題された作品とインドネシア作家,エドウィン・マカリム・ヤヌアール(Edwin Makarim Yanuar)(本人) 写真提供:ISBI Bandung / Asia International Friendship Exhibition 2017,Artist Talk ⒸAsia Art and Culture Association , All Right Reserved “Gallery Asumu Art Space”

 デデ・ダダ・ビンタロ・ジャカルタは,チャンドラ氏を中心に,インドネシア国内の展示をはじめ,ヨーロッパなど国際展で活躍するアーティストである。本年度は,アジア国際友好展のメインテーマ《クロスアジア・クロスアイデンティティ》を表現した秀作が多数展示されました。

 また,本展には,アンディ・ソピアンディ(Andi Sopiandi),チュチュジュ・ウィジャジャ(Tjutju Widjaja)をはじめとする,バンドゥンのアーティストらも参加しており,『ジャワの山々(JAVA MOUNTAIN)』と題された,アンディ・ソピアンディ(Andi Sopiandi)の作品は,美しきインドネシアの風景を主題にしたジャワの山々が表現されている。
 そして,『静寂(Menanti)』と題された,女性作家,チュチュジュ・ウィジャジャ(Tjutju Widjaja)の作品には,何かを待つ,印象的な子供が表現されている。

 本年度のアジア国際友好展は,キュレーターのアグス・チャハヤナ(Agus Cahayana)より,インドネシアの作品についての作品紹介と解説が加えられた。そして,インドネシアと日本の交流活動を牽引するアグス・チャハヤナ(Agus Cahayana)から,日本の展示作品についても称賛の言葉が述べられた。

 2018年は,日本とインドネシアは国交樹立60周年となる記念すべき年となる。アジア国際友好展のオープンニングで謝辞を述べた,インドネシア副大使のベン・プルサカ・ドラジャット氏が述べているように,来年度も引き続き,美術を介した友好の輪が広がることが期待される。

《報告―アジア国際友好展実行委員会》





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2017年08月25日